仮想通貨市場全体で見ても昨年と比べてあらゆる事に変化が起きて来ていますが、ことICOを見てみると大きく様変わりしているのが分かります。ICOとは、イニシャル・コイン・オファリング(Initial Coin Offering)の略で、未上場の仮想通貨を事前販売することにより、主にプロジェクト等の開発費を調達する目的で行われるクラウドセールです。実際には違いますが、新規上場株式のIPOと似たイメージで良いと思います。
規模が大きくなっているICO
昨年と比べても、ひとつのICO案件の規模が大きくなって来ている印象で、市場全体で見ても昨年2017年のICOによる資金調達額は6000億円と言われていますが、2018年は2月の時点で2000億円を突破しているようです。年々増加していおり過熱感が伝わってきますね。
ICOの光と影
ICOは、全ての人が平等な立場で投資することが出来る、コミュニティの多様化に役立つとされて来ました。こういった意味では仮想通貨市場にとっても良い影響ですよね。しかし、ICOにより資金を調達したにも関わらず開発をしなかったり、上場をしなかったりと詐欺的な案件も多いというのが問題視されています。
そこで多くの国で投資家保護の為に、ICOの規制やガイドラインの策定が続いている状況です。規制や禁止に付いては、国により大きくスタンスが違い中国や韓国ではICOそのものが禁止となっており、シンガポールやオーストラリアなどではICOをサポートする形のガイドラインが提供されています。つい先日もスイスがガイドラインを発表しましたね。
また、ICO後にその仮想通貨が上場をすると多くの場合が、価格の乱高下が起きます。これは光と影両面を持ち合わせていますが、ICO実施者から見ると価格は安定して欲しいと願っていると思います。では、どの様に乱高下して行くのか仮想通貨のひとつでありICOを実施したEOSに関して見てみましょう。
ICO後のチャート
下図は、EOSの上場した時の1日足チャートになります。
上場の2日目と3日目に大きく上昇し、その後に大きく価格を落としているのが分かります。こういった現象は他の多くの仮想通貨でも起こりICOを加速させる要因ともなっているのです。これは、ICOに参加している投機筋による強い売り圧力により起こされます。どうしても上場後は注目が集まり価格は暴騰、その後投機筋により売り浴びせが始まります。
この様にICO後の上場で暴騰するという値動きはパターン化されていたので、益々ICO熱は過熱していっているのです。しかし、これに待ったをかけるかのように大型ICOと言われる多額の資金を集めるICOはある特徴が出て来ました。
TelegramによるICO
多くの投資家が注目していたTelegramによるICOですが、一般の投資家からすると肩透かしの様に感じているかも知れません。何故ならICOに参加するには、資産1億円以上または年収2000万円以上という条件があったからです。要は一般の投資家は締め出しをくらったということですね。
このTelegramによるICOは、たった81人の投資家から910億円もの額を調達することに成功しました。単純計算で1人あたりの投資額は11億円。はい。一般の投資家には無理な金額ですね^^;
どうしてTelegramは、この様に投資条件を付してICOを実施したのか、それは恐らく大口投資家や機関投資家は長期的な目線で投資をする傾向にあるので、上場後の急激な動きを抑制する狙いもあるのかと思います。急激に価格を上げるよりもゆっくりとプロジェクトと共に価格も上がって行くという形を作りたかったのかも知れませんね。また、他のICOとは一線を画したいという狙いもあるのかも知れません。
閉鎖的なICOが一般化する可能性が高い
この様な閉鎖的なICOは2018年に入り多くなっている傾向で、2018年に実施されたICOの80%以上がTelegramと同じプライベートセールで行われたと言われています。一般の投資家がこれは良い案件だと思っても買えない訳ですね。こういった流れは今まであった仮想通貨独自の考え方であった、全ての人が平等な立場で投資することが出来るという平等性を欠如していると言わざるを得ない状況ですが、色々と事情があるのでしょう。これで富を持つ者は富を得るという形が出来上がって来たと言えます。上位1%の投資家が利益を得る仕組みになりつつあるということです。
逆に一般人が購入できるICO案件は詐欺が多くなるという見方も出来ると思いますし、ICOがない仮想通貨も今後は多くなって来る可能性もありますね。いきなり上場という形です。これこそ平等と言えば平等ですが^^
今後はICOに限らず、仮想通貨そのもののあり方や市場自体も大きく様変わりする可能性も大いにあり得ますね。
この記事へのコメントはありません。