戸建投資(不動産投資)で高利回りでも購入してはいけない物件

再建築不可の戸建

こんにちは。不動産業界歴17年のイズムです。

今年は戸建投資に復帰してとりあえず1戸買おうと考えていますが、色々と物件を漁っているとたまに高利回りの中古戸建が出て来る事があります。しかし、高利回りという理由だけで購入するのは危険だなと思う部分もあったので、イズム的に高利回りだとしても購入しない方が良いと思う戸建物件に付いて解説したいと思います。

その前に高利回りの物件とは、どれくらいの利回りのものを言うのでしょうか?イズムは戸建投資の場合、表面利回り20%~25%くらい、実質利回り15%~18%くらいだと高利回りかなと考えていますが、利回りに付いては戸建投資(不動産投資)で狙うべき利回りで詳しく解説していますので、参考にしてみて下さい。

 

買ってはいけない戸建物件

買ってはいけない戸建物件の例を具体的にお伝えしますが、あくまでもここでご紹介する内容は、これから戸建投資を始めようと思っているという方に向けたものになります。ある程度の経験を積んだ玄人さんの場合は購入しても大丈夫というものも含まれていますので、問題を自己解決出来るのであればチャレンジしてみても良いでしょう。そうすることで超高利回りを獲得出来たり、高額売却する事が出来る可能性もあります。

イズムが基本的に避けている物件は以下の通りです。

  • 権利が借地権の物件
  • 接道が私道なのに持ち分がない物件
  • 埋設物が越境をしてしまっている物件
  • 再建築不可の物件(再販出来るなら可)
  • 告知事項がある物件(内容による)
  • 酷い雨漏りや酷い傾きのある物件
  • 近隣トラブルがある物件
  • 人口の減少率があまりにも高いエリアの物件
  • 管理費・修繕積立金が高過ぎる(安過ぎる)物件

それぞれ、どういった理由で購入してはいけないのか見て行きましょう。

 

権利が借地権の物件

戸建における権利とは、土地の権利のことで権利は大きく分けて2つあります。

  1. 所有権
  2. 借地権

所有権は、その土地を所有することの権利ですので、問題ないのですが、借地権の場合は借りている土地になるので、毎月借地料を支払わなくてはならないですし、大掛かりな修繕や建て替えの際には地主に承諾を得なければなりません。当然ながらその際には承諾料が必要になりますね。

借地権の戸建

購入する際に安いというメリットはあるものの、自由度の幅が狭く出口(売却等)も見え辛いという大きなデメリットも存在します。上手く借地権を買い上げて所有権に変えることで土地の価値を一気に上げる何てことも出来ますが、玄人向きとしか言いようがないでしょう。

イズムはどんなに高利回りであっても購入はしません。

ちなみに、借地権には、土地賃借権と地上権があり、地上権は極めて所有権に近いですが、売買で多く出回っているのは土地賃借権の方です。また、それには旧法借地権と新法普通借地権、一般定期借地権、建物譲渡特約付き借地権がありますが、ここでは説明は割愛させていただきます。

 

接道が私道で持ち分がない物件

戸建投資用の物件を探していると、接道という言葉を目にする事もあるでしょう。接道とは、その名の如く土地が道路に接している事を言いますが、ほとんどの地域(都市計画区域と準都市計画区域)でこの接道が2m以上ないと新しく建物を建てる事が出来ません。

道路は大きく分けると

  • 公道
  • 私道

がありますが、今回は私道に面した土地のお話しです。

私道という事は誰かが持っている道路という事になりますが、この私道は複数の人で共有して持っている事もあります。

私道持ち分のある戸建

その私道の共有持分を一緒に持っている(買う事ができる)土地なら問題ないのですが、中には私道持ち分を持っていない場合もあります。持ち分を持っていないという事とは、その私道を通行する権利や掘削をする権利などを持ち合わせていないという事になるので、私道の持ち主に対して道路掘削等承諾書などで)通行や掘削の承諾を得なければならないという事です。もし、これがない状態で購入してしまうと後々にトラブルに合う可能性は充分に考えられます。

中には昔からの地主さんが私道を持っており、口頭で「自由に使って下さい。」と言われている事もあります。仲介不動産会社も「過去にトラブルはない。」などとしている時でも、もし地主さんが代替わりして私道の持ち主が変わった場合のことを考えておくべきでしょう。今までは「何をしても良いですよ。」と言われていたものが、地主の息子が私道の権利を受け継いだ事で、使用料を取るようになった、勝手な通行は許さない、道路の掘削には多額の承諾料が必要など状況が一変してしまう事もあるのです。

接道状況が私道で持ち分がない場合は、承諾書を必ず取得すること。それが出来ないのであれば購入してはいけません。ちなみに、イズムであれば持ち分がない時点で購入しません。

 

埋設物等が隣地に越境をしてしまっている物件

埋設物とは、地中に埋まっているものですね。家を建てる時には地中に配管や浄化槽など色々なものを埋めていますが、それが敷地を越えて隣地に入ってしまっている物件も存在します。

その多くが昔は、隣地の方と仲が良くお互い様精神で「敷地に浄化槽が入りきらないので、少しだけ越境しても良いですか?」「〇〇さんのお願いなら良いですよ。」的な感じで越境して建物や埋設物を埋めてしまう事もありました。それが売りに出ているという事ですね。

しかし、私道と同じように相続や売買により隣地の持ち主が変わる事で、このお願い事は何の意味もないものになります。購入後に隣地の方から「おたくの浄化槽がうちの敷地に越境してしまっている。その場所に新しく倉庫を建てる事になったので移設して下さい。」など言われる事もあり得るのです。こうなると不利なのは当然ながら越境してしまっている側なのは間違いないですね。

これは何も埋設物だけではなく、戸建の屋根(軒)などが越境してしまっているというケースもあります。

こういった物件で越境物の撤去移設となると、それ相応の費用がかかりますので、間違いなく購入しない方がいいでしょう。

 

再建築不可の物件(再販出来るなら可)

戸建投資で物件を漁って(検索して)いると再建築不可という物件を見る機会も出て来ると思いますが、これはその名の如く、新しい建物を建てる事は出来ませんというもの。その多くが接道義務を満たしていない事が要因となっていますね。建物を建てる事が出来ないという事は、土地の価値が大きく落ちるので相場よりもかなり安く売られているというのが現状です。ですので、多くの戸建投資家が手を出しているとも言えますね。

しかし、安く買えるという事は、高い利回りを狙う事が出来ますが、反面、出口(売却等)が狭いという大きなデメリットがあります。再建築不可と言うだけで購入に値しないという投資家もいますし、当然ながら実需(一般)のお客さんからはほとんど見向きもされません。

再建築不可の戸建

それでも戸建投資という面で見ると魅力があるので、ある程度の築年数であればリフォームして貸すという選択肢もありますが、築年数が古くなって来ると最後はチキンレース的な事になって来る為、初めての戸建投資には向かないと言えるでしょう。建物がある限り何度でもリフォームして貸し続けられるという考え方もありますが、火災などで躯体がなくなるほど燃えてしまった場合は、それも出来なくなりますので注意が必要です。建物がなくなった場合は資材置き場や家庭菜園などの用途で売られたりしていますが、買い手が付かなければ固定資産税等だけが一生ついて回ります。(土地の放棄は基本的に出来ません。)

 

告知事項がある物件(内容による)

告知事項とは、過去にその土地や建物または近隣において心理的な瑕疵があったことを伝える事を言いますが、一般的には自殺、他殺、事故死などの事を指す事が多いですね。

告知事項がある戸建

戸建投資として戸建を購入した後には、自分が住むわけではなく賃貸として貸し出すので、貸し難い告知事項の場合は避けるべきでしょう。どんなに利回りが高くても実際に借り手がいなければ1円にもなりません。

ただ、自然死(お風呂で亡くなった、亡くなってから発見が少し遅くなった)なども告知事項としている場合もありますので、貸すにあたり問題がないレベルの告知事項であれば、検討するのもありだと思いますが、告知事項がある物件は賃料も相応に安くしないと埋まらない為、ガッツリと指値を入れることを忘れないで下さい。戸建投資においての最大のリスクヘッジは安く買うことです。

 

酷い雨漏りや酷い傾きのある物件

酷い雨漏りや酷い傾きのある戸建は、安く売りに出ていることもありますが、修繕に100万円単位の費用がかかって来ることがあるので、避けた方が無難でしょう。

傾きのある戸建

ただ、簡単な修繕で直せるレベルであれば、この限りではありませんが、初めての戸建投資の場合は基本的に避けた方が良いですね。簡単な修繕とは、雨漏りの場合は部分的な屋根の葺き替え等、傾きの場合は室内床のレベル調整で修復出来るレベルです。

 

近隣トラブルがある物件

近隣トラブルは実際に現地に行って周りの方々に聞き込みをしないと分からない事も多いので、戸建の内見に行った際には歩いている方やご近所さんに周辺環境はどうか?など遠回しに色々と聞いてみるのが良いと思います。中には話すのが好きで何でもかんでも教えてくれる方が1人はいますよ^^

仲介業者も近隣トラブルを把握している場合は、説明する義務がありますが、売主から知らされていない場合は把握する事が出来ず事前に説明することが出来ませんので、基本的には購入前に自ら隣近所の方に聞き込みをするというのは重要です。ただ、売主がこの事を知りながら告知しなかった場合は、瑕疵担保責任免責であったとしても何かしらの責任を追及する事は出来る可能性はありますね。

近隣トラブルがある場合は、入居者に影響があるのかどうかが重要です。2軒隣の方と3軒隣の方が揉めている程度なら良いですが、お隣さんが迷惑おばさんで目の前を通る人を怒鳴り散らすなどの場合は、絶対に購入してはいけません。購入してしまうと売却することも厳しくなりますからね。

 

人口の減少率があまりにも高いエリアの物件

以前の記事で戸建投資(不動産投資)を始めるエリアの選び方でもお話ししていますが、日本の人口はこれから減り続けます。ですが、エリアによってはまだ増えて行く地域、減っては行くが減り方が緩やかな地域、極端に減り方が激しい地域など千差万別です。

イズムは、既に人口の減少が激しい地域は購入しないようにしていますが、減少が緩やかな地域であれば利回りによっては検討するようにしています。千葉県の山武市などは2000年から人口減少が始まり勢いよく下がっていますね。

山武市の人口推移

東金市では2010年をピークに減少が始まっていますが、まだ緩やかな地域と言えるでしょう。ですので、こういった地域は利回りがそれ相応に高く4年~6年くらいで元本回収出来るのであれば購入するといった判断になります。

東金市の人口推移

なお、東金市は人口は微減していますが、世帯数は微増していっていますので、戸建投資をするという意味では今のところ大丈夫な地域に入るとは思います。

人口推移と世帯数

出典元:東金市人口ビジョン

ただ、なるべくなら鎌ケ谷市のように直近でも人口が増えている地域が良いですね。

鎌ヶ谷市の人口推移

なお、県や市などのマクロのみで見るのではなく、地区など人口の増減をミクロで見るというのも今後は重要になって来るでしょう。例えば、以下は船橋市の地区別人口増減数ですが、薬円台(+523人)と芝山(-735人)で、もし全く同じ条件の戸建が仮にあったとするならば、当然ながら薬円台を選ぶべきですね。

船橋市の地区別人口増減数

出典元:船橋市人口ビジョン

話しがそれてしまいましたので、元に戻しますが、日本の人口が減るこれからは以下にその影響が少ないところを選ぶのかが重要な為、既に人口の減少率が高い地域への物件は買うべきではないと言えるでしょう。

 

おまけ:管理費・修繕積立金が高過ぎる(安過ぎる)物件

戸建投資ではないですが、区分マンションなどの場合は管理費や修繕積立金が高過ぎる物件や安過ぎる物件は避けるべきです。

管理費や修繕積立金が高過ぎるマンションは、まず過去の管理費や修繕積立金を調査するようにしましょう。もし、値上がりして来ていて現時点でかなり高い設定になっているようであれば危険です。これからも上がる可能性もありますし、マンション管理において計画的な判断が出来ていないと言わざるを得ません。

安過ぎるマンションの場合は、現在の財務状況を事前に確認しましょう。今後行わなければならない大規模修繕などに耐えうる額があるかどうかが重要です。もし、足りないようであれば大規模修繕する際に追加金を徴収されることとなる可能性は極めて高いので、想定している利回りが崩れることとなりますし、前所有者が払うべき修繕積立金を実質的にあなたが負担することとなるので無駄でしかありません。

区分マンションの場合は、管理費や修繕積立金が適正な価格であり、尚且つ財務状況が健全である事が最低条件です。

 

ここまで、イズムが思う戸建投資で購入すべきではない物件に付いて解説して来ました。中には玄人の方であれば手を出しても大丈夫なものもあったと思いますが、基本的には初めて戸建投資を始める方や、まだ戸建投資に慣れていない方は避けた方が無難でしょう。

ここからはおまけ的な文章になりますが、イズムがあまり購入するのをお勧めしない戸建に付いて解説して行きたいと思います。

 

あまり買うのをお勧めしない戸建物件

イズムが戸建を選ぶ際に候補には入れない条件が以下の5つです。

  • 5LDK以上の物件
  • 1Rなど狭すぎる物件
  • 駐車場がない物件
  • 内見時にカビ臭い物件
  • 賃料が高過ぎる物件

ザッと解説します。

 

5LDK以上など広すぎる物件、1Rなど狭すぎる物件

5LDKなど部屋数が多くなると、その分高い家賃を取る事は可能ですが、3LDKなどと比べて、5LDK以上などの場合、探す人の数は少なくなりますので、入居付けにはそれなりの時間がかかる可能性があります。また、リフォーム時にも3LDKなどに比べて費用はかさみますので、稼ぐという上では効率があまり良くはないですね。ただ、一度入居してしまえば、地域によっては大型の戸建の数が少なく退去され難いというメリットはありそうです。

逆に狭すぎる戸建の場合は、家賃が安く効率が悪くなりますし、飽和状態のワンルーム投資と多少競合してしまう可能性もあります。イズム的には戸建投資はあくまでもファミリーをターゲットとするのが望ましいと考えています。

 

駐車場がない物件

これは賛否あると思います。駐車場がない物件でも戸建であれば客付け出来ますし、近隣に確保出来れば尚良いですね。また、駅から近ければ全く持って問題がないと言えるでしょう。ただ、戸建投資はアパートやマンションと比べて競合が少ないですが、戸建賃貸の中でも駐車場があれば更に競合が少なくなるとイズムは感じています。これは物件が更に古くなって行く、人口が少なくなって行く将来においても有利に働くので、駐車場があるというのは絶対条件としています。

 

内見時にカビ臭い物件

ネット上で良い戸建があり、いざ見に行くと室内がカビ臭いという事があります。こういった物件は湿気が溜まりやすい物件になりますので、白アリの被害がある可能性がありますし、根太や柱など内部の劣化も考えられます。最大のリスクは入居者が決まり難いという事でしょう。購入時の内見でカビ臭く感じたということは、リフォーム後であったとしても賃貸の募集時にもカビ臭く感じる可能性は充分にあります。賃貸物件を探す多くの方が他の物件と比較して良い方を取るので、カビ臭い家を選ぶ人は少数派と言えるでしょう。学区内で戸建はここしかないなど特別な理由がない限り選ばれる可能性は低いですね。また、入居後であっても湿気が凄いカビ臭いというのは、クレームの対象にもなって来る可能性があるので、対応が大変です。

イズムが過去に賃貸不動産会社を経営していた時に、凄まじい湿気とカビ臭さで毎日のようにクレームが入って来ていた物件がありましたが、こういう物件を手にしてしまった家主や大変だなと感じたのを覚えています。

 

賃料が高過ぎる物件

賃料が高いというのは喜ばしい事ですが、一概に賃料が高いから良いとは限りません。

特にオーナーチェンジ物件の場合は注意が必要です。以前の所有者が賃料は割高なもののフリーレント3か月、無審査など売る為だけに客付けしたお客さんが入居している場合は、早々に退去する可能性もあるでしょう。退去した後は、当然ながら同等の賃料では埋まらないので、相場の賃料に修正して募集することになりますが、利回りは大きく落ちる事になりますね。

また、相場よりも高い賃料で入居した方は、やはり退去も早い傾向にありますので、相場の賃料または相場よりも少しだけ安いくらいの賃料の方が長く入居してもらえます。このように相場よりも少し安いくらいの賃料設定の場合は、自然と理由なく転居する人を食い止める事になっているんです。理由なく転居しようと思う人は、何気なく賃貸サイトを開き「何か良い物件がないかな~」と日々探しています。探す際には今住んでいる戸建と比較して、それよりも良い条件のものがあれば引っ越しを考えているので、良いものが出て来なければ転居しないわけです。

賃料が相場よりも安ければ、今住んでいる戸建よりも良い条件のものは中々出て来ないので転居には繋がらないという事になりますね。当然ながら、転居理由が転勤や家を購入などの場合は避ける事が出来ませんが、無駄な転居を食い止める効果はあるでしょう。

 

ここまでしつこいくらいに購入してはいけない戸建やあまり購入をお勧めしない戸建に付いて解説して来ましたが、これらの条件に当てはまっていても絶対に買ってはいけないというわけではありません。

購入後に確りと運用をする事が出来て、出口さえ明確になっていれば何を買っても良いんです。出口は人それぞれの考え方次第ですので、数年運用した後に売却でも良いですし、持ち続けて建物が朽ちたら新築戸建投資の用地として使っても良いでしょうし、駐車場として貸し出しても良いですね。思いっ切り出口でも儲けを出したいなら新築戸建てを建てて売るというのもありでしょう。

戸建投資は土地を買うのでマンション投資とは、全く違う出口戦略も考えられるのが楽しい部分でもありますね。

購入してはいけない戸建を把握して、楽しみながら戸建投資をして行きましょう。

   

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筆者

著者イズム

房総ismの記事は全てイズムが執筆しております。房総半島の御宿町へ2017年に移住、移住後にイズムが体験したお金や地域の生の声を記事にしています!

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イズムは不動産業界歴17年、会社経営12年、戸建投資歴5年になります。

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